あとがき

「吹雪の出会い」の作成日は2005年の2月13日でした。
それからほぼ一年間の長きに渡ってご愛読頂き、本当に有難うございました!

メモにあらすじを書き起こして全ての土台ができたのが4月2日。
10kbに満たない筋を文章として書き起こすのに実に10ヶ月近くかかってしまいました。
漫画にするには長すぎるので、絵の余暇にとはじめた小説でしたが
次第に学生時代文芸部誌に寄稿していたことや論文を書いていたときのことを思い出し
時に懐かしく、時に苦しみながらも楽しい創作でした。
とりわけ自分の文章の癖がわかっているだけに、同じような表現を使っている個所には
今でも少しピリピリしてしまいますし、実際「ありゃ」と思う個所も多々あります。
引き出しを沢山持ちたいという欲がある反面で、この手癖をなんとか個性に昇華できないかと
もし次回作を書き起こす機会があれば、そこを重点的に考えてゆきたいと思っています。

練りこむところは自分なりに練りこんでいますが、割と「その場の勢い」が多かったりします。
たとえばディーターが元傭兵だという設定も当初まったく頭にありませんでした。
ヴァルターとの問答でなんとなくそうした方が面白そうだと思った瞬間、ディーターは元傭兵に。
時代も第一次世界大戦の頃の筈だったのに、何が契機になったのかある日突然三十年戦争時代に。orz
思わぬ設定変更でしたが、三十年戦争の事や民族文化などを、非常に浅薄なものながらも
学ぶことが出来ました。その場しのぎの所為で全体に所々不協和音もありそうですが
僅かでも知識を仕入れ、それについて考えられた事は収穫であったと思います。

一番の収穫は、こうして読んでくださる方が思ったよりも多かった事です。
やはり公開する以上はより多く共感してもらえたらいいなあ、という欲が出ます。
それは、絵を全面に押し出したい。絵=owllightひいては=坂無炳吾でありたいと思う
表現方法に対する偏狭な考え方に一石を投じてくれたような気もします。
作品を書き起こして(おこがましい言い方ですが)あたかも人へ与えているかのように見えて
実際は私が貰い、学ぶことの方がとても多かったように感じます。

絵でも文章でも漫画でも。形に拘らずに表現できるサイト。そして自分でありたいと思います。
願わくば、この作品たちが誰かの楽しみとなれますように祈りつつ。


2006年 1月 21日   坂無炳吾




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